お風呂の残り湯を使って洗濯をする時って、雑菌が気になってしまいます。残り湯を使っても、雑菌や臭いを気にしないで洗濯する方法を教えてください。
こんな疑問にお答えします。
本記事の内容
- お風呂の残り湯で洗濯するメリット
- お風呂の残り湯を使うデメリットと対策【4つのコツ】
- お風呂の残り湯を使う時に気をつけるコト
- まとめ:お風呂の残り湯で洗濯しよう!【流れを確認】
今回は、お風呂の残り湯を使って洗濯がしたい!でも雑菌など衛生面が気になる!という人に、「繁殖を抑えてキレイに洗濯する方法」をお話ししたいと思います。
どのタイミングで、何をすれば、どのような効果があるのか。実際に入浴&洗濯をする時の流れに沿ってまとめてみましたのでご覧ください。
洗濯をする時に、お風呂の残り湯を使っていますか?
お風呂の残り湯は使っているよ。水道代の節約はできるし節水にもなるし。雑菌が気になるって言うけど、自分の身体から出た汚れだから、服にも付いているでしょ。もし使わない方がキレイになるなら、洗濯機に風呂水モードなんてつけないと思う。
でも、雑菌は少ない方がいいよね。雑菌を少なくする方法ってないのかな?
洗濯機に風呂水モードがあるから使ってるっていう人いませんか?
私自身がそうなのですが、節水・節約にもなるし使わない手はないですよね。でも、残り湯の雑菌が気にならないわけではありません。
結果的にあまりキレイになってなかったら、節水・節約のためにお風呂の残り湯を使うのもおかしな話です。
調べてみるとお風呂の残り湯には、節水・節約以上に洗浄力アップというメリットがあることがわかりました。
雑菌もゼロにはできませんが、繁殖を抑える方法がいくつかあるようです。
これから詳しく解説します。
お風呂の残り湯で洗濯するメリット
ポイント
残り湯を使う最大のメリットは、お湯で洗浄力がアップすること
お湯で繊維に入り込んだ汚れが浮きやすくなる
お風呂の残り湯を使うメリットの一つが、お湯です。
襟元や袖口などに付着する皮脂汚れは油性です。
食器やフライパンに残った油汚れも、お湯を使った方がキレイになりますよね。
食べ終わったお皿や油が残ったフライパンをお湯で軽く流すと、油汚れがお湯に溶けるので洗いやすくなりますが、水で流そうとすると油が固まってしまうため、逆に洗いにくくなります。
洗濯物も同じように、お湯を使うことで繊維に入り込んだ油性汚れが浮きやすくなります。
お湯で酵素を活性化させて洗浄力アップ
そして、お湯には汚れ落ちに効果がある酵素を活性化する働きがあります。
洗濯用洗剤には皮脂汚れを分解して落とす働きがある酵素が含まれていますが、酵素は40℃くらいで活性化します。
洗濯水にお湯を使うことで酵素が活性化され、汚れを落としやすくなるのです。
お湯は洗濯用洗剤の泡立ちを良くする働きもあるため浸透力が上がり、本来の洗浄力が発揮されやすくなります。
お湯の温度は40℃くらいがベスト。お湯の温度が高過ぎると、生地が傷んだり色落ちの原因になりますが、お風呂の残り湯の温度であれば心配いりません。
温水洗浄機能がついた洗濯機が最近増えてきましたが、家庭用の電圧が低い日本では洗濯水を温めるのに時間も電気代もかかってしまいます。
お風呂の残り湯は、別の目的(=入浴)のために温めたものを使いまわすので経済的です。
節水・節約で環境にもお財布にも優しい
もう一つのメリットが、節水と水道代の節約です。
私もお風呂の残り湯を使って洗濯をするのは「風呂水をただ捨てるのもったいない!」というのが理由でした。
でも、実際に残り湯を使って洗濯をしてみると「あれ?浴槽のお湯の量、思ったよりそんなに減ってない?」って感じたことがありました。
それでは実際にどれくらい節水・節約できるか検証してみます。
検証条件
- 洗濯容量は11㎏。
- 標準使用水量は、ドラム式洗濯機で70~80リットル、タテ型洗濯機で120~150リットル。
- 洗濯の工程は洗い1回・すすぎ2回。
- それぞれの工程で使用する水量は、標準使用水量を三等分した水量。
- 水道代目安単価0.24円/1リットル(東京都水道局平成24年度生活用水実態調査をもとに算出したもの)
まずは節水について。
入浴時に浴槽にためる水の量を8割程度とすると、一般的な家庭では残り湯として200~240リットルくらいの量を使うことができます。
洗い1回・すすぎ2回の各工程で必要な水量ですが、各メーカーのサイトを見ても全体の使用水量しかわかりませんでしたので、単純に三等分して計算します。
ドラム式洗濯機では25リットルくらい、タテ型洗濯機では45リットルくらいの水量が必要になるようです。
残り湯を洗い工程のみで使う場合は、洗濯1回で25リットルから45リットルくらい節水できることになります。
洗い工程にプラスして1回目のすすぎ工程にも残り湯を使う場合は、洗濯1回で50リットルから90リットルぐらい節水できるようです。
残り湯が200リットルだとしても充分まかなえる量ですね。「そんなに減ってない?」って感じたのも気のせいではなかったようです。
次に水道代の節約について。
洗濯機を1日1回、残り湯は洗い工程のみ使って毎日回した場合に節水できる量と節約できる水道代をまとめてみました。
ドラム式1日 | ドラム式年間 | タテ型1日 | タテ型年間 | |
---|---|---|---|---|
節水できる量 | 25リットル | 9,125リットル | 45リットル | 16,425リットル |
節約できる水道代 | 6円 | 2,190円 | 10.8円 | 3,942円 |
総務省統計局の家計調査年報(家計収支編)によると、二人以上の世帯の上下水道料年間平均額は、単価の参考とした平成24年が60,972円でした。令和元年は60,524円で、各年の平均額を比較しても大きな変動はありません。
出典:総務省統計局ホームページ (https://www.stat.go.jp/data/kakei/npsf.html)
年間の上下水道代に対して、節約額が多いのか少ないのかについては意見が分かれそうですが、生涯の家事ともいえる洗濯に関しては長期的に考えてみてもいいと思います。
毎年この金額とこの水量を節約できると考えれば、エコノミーでありエコロジーですので、お財布はもちろん地球環境にも貢献できると思います。
この章のまとめ
- お風呂の残り湯を使うとお湯で洗うことができるため、繊維に入り込んだ汚れを落としやすい。
- 40℃くらいのお湯を使うと、洗濯用洗剤に含まれる酵素が活性化。泡立ちも良くなり浸透力が上がるので、本来の洗浄力が発揮されやすくなる。
- 洗濯の洗い工程で残り湯を使用した場合、概算でドラム式洗濯機だと年間2,190円、タテ型洗濯機だと年間3,942円ほど節約できる。
次はデメリットを確認して対策を考えましょう。
お風呂の残り湯を使うデメリットと対策【4つのコツ】
ポイント
残り湯のデメリットである雑菌は、繁殖を抑えることが重要
雑菌が最大のデメリット
デメリットとして真っ先にあげられるのが、雑菌の繁殖です。
衛生微生物研究センターのサイトでは、風呂水中の細菌数の試験データを見ることができます。
試験の結果によると、湯を張った直後の菌数は数十個程度だったものの、入浴後の菌数は数百個から数千個になり、一晩放置すると入浴直後の約1,000倍に増えるようです。
風呂水の菌で病気になる心配はないものの、衛生的とはいい難いため、できるだけ風呂水はため置かないことをすすめています。
出典:株式会社衛生微生物研究センター「風呂の残り湯は使っても良い?」
お風呂の残り湯を使う以上、一定数以上の雑菌はありますので、いかに雑菌の繁殖を抑えられるかが課題になりそうです。
ここからは、雑菌の繁殖を抑えるためのコツを4つご紹介します。
コツその1:雑菌が繁殖する前に使おう
一つ目の対策が、雑菌が増える前に洗濯水として使う方法です。
衛生微生物研究センターが行った試験結果によると、入浴後に増えた雑菌は時間が経過するほど繁殖しますので、入浴直後であれば比較的雑菌が少ない状態といえます。
入浴直後はお湯の温度も高く、皮脂などの油性汚れにより効果があるため、入浴直後に洗濯水として使用するといいことずくめです。
コツその2:風呂水清浄剤で雑菌の繁殖を抑えよう
雑菌の繁殖を抑えるのも一つの手段です。
入浴直後であれば比較的雑菌が少ない状態で使えるのは分かりましたが、二日目の入浴後に洗濯水として使用する場合、既に丸一日経過しているので雑菌は約1,000倍に増えています。
そこで役立つのが雑菌の繁殖を抑えてくれる風呂水清浄剤です。
1日目の最後にお風呂に入った人が入浴直後に風呂水清浄剤を入れるだけで雑菌の繫殖を抑え、残り湯を衛生的に保つ働きがあります。
風呂水清浄剤の成分にはジクロロイソシアヌル酸塩という有機系塩素剤が含まれています。有機系塩素剤はプールの消毒殺菌にも使われていて、水中での効果に持続性があり、中性のため素材を傷めません。
風呂釜や浴槽を傷める心配がない、うれしいアイテムです。
コツその3:除菌効果が高い部屋干し用洗剤を使おう
除菌という手段も効果がありそうですよね。
有効なのが、部屋干し用洗剤 です。
部屋干し用洗剤には、部屋干し臭の原因となる雑菌を抑えるために、除菌成分が多く含まれています。
漂白剤が含まれているものも多く除菌には効果がありますが、色落ちの心配があるため注意が必要です。
コツその4:すすぎ2回は水道水を使おう
汚れの再付着を防止する洗濯用洗剤の作用によって、洗い工程では一度落ちた汚れが繊維に再付着することはありませんが、すすぎ工程ではその洗剤の作用はありません。
どんなに雑菌の繁殖を抑えた上で、除菌効果がある部屋干し用洗剤を使っても、水道水に比べて雑菌が多い残り湯をすすぎ工程で使うと、キレイに洗浄した繊維に汚れが再付着します。
せっかくお湯を使って皮脂などの油性汚れに効果がある酵素を活性化させて洗浄力がアップしても、すすぎ工程で汚してしまっては意味がありません。
すすぎ工程では必ず水道水を使いましょう。
この章のまとめ
- 残り湯の雑菌は時間の経過とともに繁殖し、一晩放置しただけで入浴直後の約1,000倍に増える。
- 入浴直後のお湯は、比較的雑菌が少ない上に、温度が高いため酵素が活性化され洗浄力がアップする。
- 風呂水洗浄剤で雑菌の繁殖を抑えることで、2日目の入浴後でも雑菌が比較的少ない状態で使用できる。
- 部屋干し用洗剤を使うと除菌効果が期待できるが、色落ちには注意が必要。
- 一度落ちた汚れの再付着を防ぐために、すすぎ工程では必ず水道水を使う。
雑菌の繫殖を抑える方法はわかりましたが、それでも雑菌が気になってしまう人はいると思います。
次は、ほかにも残り湯のデメリットを解消できる方法や、気をつける点がないか考えてみましょう。
お風呂の残り湯を使う時に気をつけるコト
お風呂の雑菌が多い時は残り湯を使わない
風呂水清浄剤は雑菌の繁殖を抑えることに効果はありますが、数を減らせるわけではありません。
風呂水洗浄剤を入れる時点ですでに汚れがひどい場合、繁殖を抑えたとしても雑菌は多いままです。
風呂水の汚れがひどい時は、無理に洗濯水として使うのはやめましょう。
洗濯の目的であるキレイにすることを犠牲にしてまで、残り湯を使う意味はありません。
トイレマットやキッチンマットを洗濯する時に使う
トイレマットやキッチンマットのように、肌に触れるものとは一緒に洗濯したくないものってありますよね。
トイレマットやキッチンマットだけを洗濯した場合、水道代や電気代がもったいない気がしますが、やらないわけにはいかないジレンマに陥ります。
そこで、お風呂の残り湯の出番です。
洗濯をしてもすぐに汚れてしまうと考えれば、すすぎの1回目まで残り湯を使っても用途を考えれば充分キレイになりますし、節水・節約効果もあります。
入浴剤と風呂水清浄剤の併用に気をつける
入浴剤を使用する際に注意する点が2つあります。
1つ目は、入浴剤を入れてもお風呂の残り湯を洗濯に使えるか確認することです。
入浴剤のパッケージに記載があると思いますが、洗濯に使えない入浴剤を使用する時はご注意ください。
2つ目は、風呂水清浄剤を使う場合です。
風呂水清浄剤の使用上の注意に、イオウ系の入浴剤を使った風呂水には使えないことや、入浴剤を入れたお湯に風呂水清浄剤を使用すると、色や香りが消えることがあるという記載があります。
イオウ系以外の入浴剤であれば併用しても清浄効果はあるようです。それでも、色や香りが消える可能性があれば入浴剤を使うのをためらってしまいますが、入浴剤を優先した場合は雑菌の繫殖を抑えるための風呂水清浄剤を使うことができません。
入浴剤がお好きな人にとっては、風呂水清浄剤を使用するかどうか悩ましい問題ではないでしょうか。
この章のまとめ
- 汗をかきやすい夏など、風呂水の汚れがひどい時は残り湯を洗濯水として使わない。
- トイレマットやキッチンマットを洗濯する時に残り湯を使う。
- 入浴剤を入れる時は、洗濯水として使用できるか確認する。
- 入浴剤には風呂水清浄剤と併用ができないものや、併用すると色や香りが消えるものがある。
まとめ:お風呂の残り湯で洗濯しよう!【流れを確認】
これで、お風呂の残り湯で洗濯をするメリットと、そのメリットを活かす方法。そしてデメリットである雑菌の繫殖を減らす方法がわかりましたので、実際に入浴&残り湯洗濯をする時の流れに沿ってまとめてみました。
どのタイミングで、何をすれば、どのような効果があるのかがわかりますので参考にしてください。
入浴2日目に残り湯を使って洗濯する場合
1日目:入浴前
入浴剤を入れる場合
入浴剤を入れても洗濯水として使えるか確認する
風呂水清浄剤と併用できるか確認する
風呂水清浄剤と併用した場合、色や香りが消えることがある1日目:入浴後
雑菌の繫殖を抑える
最後の人の入浴が終わったらすぐに風呂水清浄剤を入れる2日目:入浴後、お風呂の残り湯を使って洗濯
除菌効果を高める
部屋干し用洗剤を使う
部屋干し用洗剤を使うと色落ちする場合があるお湯で酵素を活性化、泡立ちも良くして洗浄力をアップさせる
温かいうちに残り湯を使う
残り湯の汚れがひどい時は使わない汚れの再付着を防ぐ
すすぎは2回とも水道水を使う
入浴1日目に残り湯を使って洗濯する場合
1日目:入浴前
入浴剤を入れる場合
入浴剤を入れても洗濯水として使えるか確認する
風呂水清浄剤と併用できるか確認する
風呂水清浄剤と併用した場合、色や香りが消えることがある1日目:入浴後、お風呂の残り湯を使って洗濯
除菌効果を高める
部屋干し用洗剤を使う
部屋干し用洗剤を使うと色落ちする場合があるお湯で酵素を活性化、泡立ちも良くして洗浄力をアップさせる
温かいうちに残り湯を使う
残り湯の汚れがひどい時は使わない汚れの再付着を防ぐ
すすぎは2回とも水道水を使う
洗濯機に風呂水モードがついているのは伊達ではなさそうですが、キレイに洗濯できるポイントをわかっているかどうかで、満足度に差がでそうですね。
今回は以上です。